2026/05/17
狭心症とは
皆様こんにちは。
私は循環器内科医として狭心症や心筋梗塞患者さんを長いこと治療させて頂いておりました。そこで、一度狭心症についてまとめてみたいと思います。
1. 狭心症とは
心臓は24時間鼓動を続ける臓器です。その心臓を動かすために、酸素や栄養素を送る栄養血管が冠動脈です。心臓の周りを冠(かんむり)のように覆っています。この冠動脈が狭くなって流れる血液の量が減ってしまうと、心臓を動かすための筋肉である心筋が酸素不足になって胸の痛みなどを起こします。この症状が狭心症です。
狭心症の原因で最も多いのは動脈硬化による狭窄であり、動脈硬化は主に生活習慣病(高血圧症、脂質異常症、糖尿病など)によって進行します。他に、冠動脈がけいれんして収縮する攣縮を起こして狭心症になることがあり、若年層でもなることがあります。また、川崎病の後遺症や大動脈弁狭窄症などによって狭心症の症状を起こすこともあります。
2. 狭心症の分類
階段や坂道を上がると胸が苦しくなる、重いものを持ち上げると胸が痛くなるなどがあって、安静にしていると痛みが治まる場合には、労作性狭心症が疑われます。
運動時には、心臓が活発に動くため、より多くの血液が必要となり、冠動脈に狭窄があると血液不足を起こし、胸痛が起こります。
狭心症で起こる胸痛は、しめつけられる、圧迫される、灼熱感などと表現されることが多くなっています。胸の前面、背中、みぞおち、肩、腕、首などに起こることもあります。歯痛やのどの痛みとして現れることもあります。痛みの持続時間は数分程度で、ほとんどの場合は安静を保つと改善します。
不安定狭心症は安静時にも胸部圧迫感が出現する状態で、心筋梗塞に移行する可能性のある危険な状態ですので、速やかに医療機関を受診してください。
冠攣縮性狭心症は主に朝方や喫煙後に胸痛が起こるもので、冠動脈が痙攣して縮こまることによっております。奥歯や肩、腕の痛みを伴うこともあります。
3 . 狭心症の検査法
狭心症が疑われる場合、以下のような検査を組み合わせて診断を行います。
心電図検査: 心臓の電気的な活動を記録します。発作時でない場合は正常なことも多いです。
ホルター心電図: 小型軽量の心電計を24時間装着し、日常生活中の心電図変化を記録します。不定期に起こる発作や、夜間・早朝の発作(冠攣縮性狭心症など)の検出に役立ちます。
冠動脈CT検査: 造影剤を注射で投与し、CT撮影によって冠動脈の狭窄や石灰化の程度を詳しく評価できます。CTを備えた医療機関で行います。
心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査): 手首や足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を挿入し、冠動脈まで進めて造影剤を注入し、X線で動画を撮影します。冠動脈の狭窄部位や程度を最も正確に診断できる検査です。必要に応じて、そのまま治療(カテーテルインターベンション)を行うこともあります。血管造影室を備えた医療機関で行います。
4. 狭心症の治療法
① 生活習慣の改善
高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を改善することで、冠動脈の硬化を抑えることができます。具体的には、以下のことに気をつけましょう。
□バランスの良い食事を心がける
□適度な運動をする
□禁煙する
□適正体重を維持する
② 薬物療法
□抗血小板薬:血液をサラサラにして血栓の形成を抑える薬です。
□硝酸薬:血管を拡張して、心臓の働きを楽にする薬です。
□カルシウム拮抗薬:冠動脈を拡張させ、血流を改善します。冠攣縮性狭心症の
治療にも有効です。
□β遮断薬:心臓の拍動を抑えて、心臓の負担を減らす薬です。
□スタチン:血液中のコレステロール値を下げる薬です。
③ 冠血行再建法
□経皮的冠動脈インターベンション(PCI):カテーテルを血管内に挿入して、詰まったり狭くなった部分を風船やステントで拡張したり、ドリルで削ることで、血管を再開通させる治療です。
□冠動脈バイパス手術(外科的手術):複数の冠動脈に狭窄がある場合や、カテーテル治療が困難な場合に選択されることがあります。体の他の部位から採取した血管(グラフト)を使って、冠動脈の狭窄部分を迂回する新しい血流路(バイパス)を作成する手術です。